ピアノの指使いはシステマティックに
ミスタッチの原因になる指使いのポジションのミスユースを検証する
ピアノの指使いには法則性がある。
それは、そんなにたくさんの法則性ではないけれども、意識から無意識の方に落としこむ身体化のプロセスが必要。
その法則性について書いてみようと思う。
これも、utena drawing と同じように、“身体のプロセス”と”聞こえる音”をイメージのちからで結んでいくことによって構成していけば、使い勝手の良いシステマティックな運指になる。
50年のピアノ歴を経てであった、レッスンでの学び
ピアノを弾いて、なんと50年、その間、いい加減なお付き合いのときもあれば、育児休暇もあり、また、ピアノに向かって無駄な練習も山ほどやった。で、一番勉強になっているのは結局ピアノを人に教えてきたことかもしれないなあ、と思う。で、それなりに経験というのが積み重なってやっと見えてきたことってのもあって、その一つにピアノの運指(指使い)の構造がある。
Iさんは、子供の頃エレクトーンを習っていて、ブランクを経て今改めて utenaの教室にピアノと音楽全般の知識を学びに来られている。しばらく手慣れた曲や聞き慣れた曲をやっていくうちに、どうしてもいつもつっかえる癖が壁になっていることに気づかれ、それを治すには、根本的なところへのアプローチが大事で、基本をもっと掘り下げるべき、という結論になった。
それも中途半端にしないでゼロ地点まで戻って。私も絶対それがいい、と賛成。
そういう心意気のレッスンができるのは気持ちがいい。
さて、その癖の中で一つミスタッチをおおいに呼び込んでしまっていたのが、運指だった。
ピアノの運指はシステマティック
イメージしてみよう。
ピアノの鍵盤は平面的に近いけど 白と黒、二層になっていて、左から右へと上行していく。右から左へは下行。
でも、人の手は左右対称になっているから大まかな動きのフォルムも中央から左右両側に開いていく感じなる。
基本は白鍵5個にお行儀よく5本の指を乗せる形。まずはそのポジションのブラインドタッチ感。なんならドミソの和音を弾いてみる。左だったら5・3・1右は1・3・5
ここから親指の付け根を開く動作を新しく取り込んでシレソを弾く左5・3・1 右1・2・5
指を開く動作の基本的な動きは、まずは親指の付け根の自由。そして、それは更におおきな開きの音への動きにも応用されていく。(余談だけど、ショパンは基本のポジションをファ・ファ#・ソ#・ラ#・シに置いたという話をどこかで聞いた気がするけど、どうだったかな、これも理にかなってると思うし、ショパンの旋律をひこうと思ったら、それはとても意味あるなとおもう)
それから、指の旋回ドレミファソラシドの音階をなめらかに弾くために、右12312345の動き。
黒鍵は、立体的に動く。事前に黒鍵への動きをとりこめるポジションの確保。
基本は黒鍵には親指はこない。上級になってくるとそうでない曲も出てくるが、基本的な動作としては、黒鍵を降りた次の白鍵で1の指が来るように指に思い込ませる。
基本の基本はこれだけ。
この運指の動きの身体化のためにも、一番良い練習が全調のスケールとカデンツ。
Iさんとは、この基本を共有するために、数週間かけて、対話しながらレッスン。
それから、その諸要素が腕や指の動きと、音の動きが連動するように、
そしてそれが流れが自然に生まれてくる運指で 簡単な曲のメロディを弾いてみる。
ゼロから、という男前な思い切りの良さが功を奏し、始めてから2ヶ月、全体の流れが自然に整ってきている。
写真は、今練習中のモーツァルトの「私は恋をして幸せでした。」の伴奏の運指。3度の重音は弾きにくいので、自分の勝手の良い方法を編み出す。