2018.05.09 発展p参加者の声

余計ななにか、に気がつくアレキサンダーテクニークとutena drawing

アレキサンダーテクニークからの発展p参加

アレキサンダーテクニークの指導をされている棚橋さんがご自身のブログに
「音楽を描く」レッスンの様子と体験談を掲載していただいた。

アレキサンダーテクニークとフルート(より自由に快適に演奏できるために)
スケッチレッスン

から引用

数えてみると、これをゆっくりのペースだけど習うようになって
もう4年以上経つことにびっくり。
これまで「なんのために?」「何を習うの?」「何が正解なの?」と謎ばかりで
谷中先生を困らせていたけど、最近やっと少しずつわかって来た感じがする。

最近は、感覚を研ぎ澄ませてスケッチブックに色鉛筆を走らせると、
自分のやっている癖がよくわかるようになってきた。
「うーん、私何かを表現したいがために、何か余計なことを
やっているらしい!」と気づく。
これって当にアレクサンダーテクニークと一緒だよね、とつくづく思う。

楽曲に色を付けないで、シンプルに旋律をフルートで吹く事、これが意外にできない。
というか、できていないのに色を付けようとして、音楽をしているつもりの自分に気づく。

やればやるほど、基礎に帰っていく。
こういうのがすごく楽しい。

そうか、東京へ行くようになって、もう4年たっていたのか。
・・・感慨深い気持ちが浮かんできた。
まだ、海のものとも山のものとも分からないもの(音楽を描くという方法)を
当初から受けていただいていて、
私がまだうまく人に伝えられないものも根気づよく待って頂いた方達がいて、
彼らがいて、今の私があり、
ここまで形作られてきたワークがある。
彼女もその1人、というか第一人者。

そのプロセスには悲喜こもごもあったけれども、体力がつきそうなときもあったけれども
何はともあれ、
東京で楽しみにこのワークを待っていてくださる人がいると思うと
いつも、飛行機にのるまえには良い集中と高揚感があった。

むしろ育てられていたのは私の方で、
そうした恩に報いるには、
やっぱり、このワークで その一人ひとりの音楽する土壌を整え
その人が種をまくためのツールにして手渡すことしかないだろうと思っていた。

そうか、4年。果たして長いのか短いのか・・

「音楽を描く」は結果オーライというのはない

4年たってみて、わかったのは、結局「音楽を描く」ってのは、
どういうものなんだ、ということを共有していくのに
時間がかかる。ということ。
このツールを使って、自分の感覚を呼び覚ましたり、
より深い音楽体験を共有していく、というのは、最初のワークから始められる。
それは、道案内をする私とあるく音楽散歩のようなものかもしれない。
散歩の途中でいろんなものを拾ってもらえたら嬉しい。
けれども、じゃあ、それは何なのか、なにをやっているのか、ということになると、これがなかなか、伝わらない。そしてここが伝わって初めて、本当に演奏に結びついていくもの。
最初から楽しんで味わっていただけるけれども、奥も深い。
尋ねられて初めて動き出せるようなのんきな所が自分にはあって、それに、時間が経ってじんわり伝わっていくこともあり、それをとにかく根気よく聞き出してくれてきたのが 、彼女。

このワークは 指導に従って描けたらよい、みたいな結果主義、結果オーライというものじゃない、でも、誰もがまずはそこに目がいってしまう。
描いているプロセスに内実のすべてがあり、
そこでどんな情報が引き出され、伝達しあい
それに基づいてどんな対話がなされて、なにが共有できていったかで
ワークの内容は深くもなり、表面的にもなる。

感覚や体験に本当に働きかけようと思ったら
今わからない現実にも直面しそれをこそ情報源とし、向き合う、
結構しんどい作業に出会うこともある。

けれど、その先に自分で音楽とがちで向き合うツールとして、このワークはそれまでの癒やし系から形を変えて行くような質をもっている。そうだったんだな。
それをがちで実践していただいた。
それは、演奏に役立て、自分で自分の演奏に向き合っていく、という方向に向かっていける。
互いの音楽性を画用紙上に引き出しながら、それを土台にその人が自分の音楽を生み出していく。

このワークは不定形で、マニュアル化されるものではなく、そして、それ自体が芸術行為としてなりたつものであるべき、というのは私の当初からの覚悟だった。(私が考えている芸術って何かって話になるとややこしいので、またいつか別枠で・・)
でも、ここまで問を手放すことなくつきあっていただいた
その、彼女の問いの的確さ、根気の良さは何だったろうと思うのに、そこにアレキサンダーテクニーク、というものがあるのかもしれない。

アレキサンダーテクニークと「音楽プロセス体験」

音楽を描く、という方法はそのベースに「音楽のプロセスと実感を結ぶ方法」という捉え方がある。というか、それがあって音楽を描く、というツールが生まれた。
アレキサンダーテクニークについて多くを知っているわけではないけれども、ここには多くの共通点があり、根っこを同じくするものを感じる。

例えば、結論が先にあって、そこへむかうプロセスを省いてしまうことで形骸化してしまうことを、このワークでは注意深く避け、そのプロセスをシンプルにして見通しよく伝えていく方法論を模索してきたのだけれど、それは、アレキサンダーテクニークでいうところの「end -gaining」に陥らない、とか「means-whereby」に通じるものがあると思う。それが具体的な音楽へのアプローチになっているのがこのワークだから、なにか役立てるかもしれない。だから、親和性がよい、と彼女はいうのかな。そこから先は彼女に委ねよう。

何よりも、出会った一人の人の中で種が芽吹いて、自分の音楽を模索するツールとして機能し始めていること、そして共に音楽する友人として4年たってこうやって出会えたことが、本当に嬉しい。


*写真は、東京講座の帰りの飛行機の中から撮影した瀬戸内海。

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