7.拍子 (beat)/きざまないで”くくる”でとらえる
拍と拍子の関係を「かえるのうた」「ふるさと」で説明します。
”かえるのうた”を、まず、前回やってみたのと同じように、拍を取りながら歌ってみましょう。
上の図で、拍はちょんちょんと飛び飛びに入っている印のところです。楽譜は左から右へ時間が進んでいっているので、その感覚をみうしなわないようにやってみましょう。また、拍は前回の記事にも書いたように、点としてではなく、動線でイメージします。
次に、拍を4っつずつ、つまり4拍でくくりながら歌ってみましょう。
これは4拍子です。
同じように、日本唱歌の「ふるさと」も拍を叩きながら歌ったあと、今度は3拍ずつでくくりながら歌ってみます。
3つの拍で進んでいでいく「ふるさと」は3拍子です。
拍子を手を動かして実感してみよう
動画で説明していますので、みながら、やってみてください。
必ず、自分でやってみることは大事です。ああ、わかっている、というところで止まっていたら、実感が育ちません。
ワークブックにあげている曲は
かえるのうた(ドイツ民謡)
ふるさと(唱歌)
ななつのこ(野口雨情作詞・本居長世作曲)
です。あと動画では、うみ(唱歌)もうたっています。
これらの曲を選んだのは、誰でも知っていて、著作権がきれている・・ということや子どもも一緒にやれるものにしたかったからです。納得がいったら、クラシックの名曲やポップスやジャズ・ロックいろんな曲でやってみてください。ここでは、まだなんとなく、こんな感じかな、というので十分です。
どうでしょう?
刻む、というやり方と、 このくくるという方法の違いがわかるでしょうか?
くくる、というのは 「5くくる(人が意味を獲得するためのツール)」でかいたように、人のまとめていく力です。これを養っていこう、ということですね。
拍子とは
拍子(ビート・タクト)
utena music field 音楽リテラシーワークブック1より
拍の上のひとまわりおおきなくくり。
まとめられることで、拍のひとつひとつに性格が生まれる。
一拍目は勢いがあり、最後の拍を次の一拍目の準備になっている、など
ポイント
一般的に、拍子の一拍目を強拍、他を弱拍といいますが、それは感じるものの結果であって、それまでのプロセスを重視するこのテキストでは、あえて、強拍・弱拍という呼び方はしません。
音楽リテラシーワークブック1 18ページ
拍子を強弱で説明しないのは・・
もう少し詳しく説明します。
強弱 強弱弱・・・という言い方はいわば、時間の流れが一本で、その一元的な時間軸の中で捉えられたものを表現していると思います。けれども、拍子というのは、時間の経過であると同時に、俯瞰的で、数学的な直感に近いようなものでもあるのですね、「4つで一つのくりかえし」「3つで一つのくりかえし」というような。このひとくくりおおきな「一」ゆったりと空から見下ろすようなかんじで捉えていければ、リズム感がかなり変わってきますし、混乱もなくなります。
リズム感が育たないわけ
また、拍子も拍と同じように、時間の中に等間隔に現れる点と捉えるよりも、エネルギーの循環と捉えるほうが体感としてつかみやすくなります。その方法を動画も使いながら説明しています。
リズム感がつかめない、という悩みはごく初歩の音楽学習者からだけの問題ではありません。
素晴らしいテクニックを持っておられる方や、音大生や音楽教室の先生にもよくある悩みです。
また、小さいつまづきが修正できない、というときや、テクニックが良くない、と判断されているようなときでも、この拍子をうまく乗りこなすことで問題が解決するときが多いです。
つまり、拍子の乗りこなし、は、初歩から、高度な演奏レベルまでとても大事な要素になっているのですね。もっと直球でいうと、楽曲を貫いている脈動のありようを体感で理解する大事なポイントだということです。
ですから、この、リズム感に関する悩みは、レベルの差に関わらず、その楽曲の下地になっている拍・拍子を体感で受け止められていない、ということが、おおもとの原因となっています。
でも、心配しないでください。
リズム音痴と思っている人もその多くは、拍と同じように、拍子にたいする体感的な理解にまだ出会っていない、ということがまずあるのです。
頭で知っていることと、体験的にわかるというのは違いますから。こういう説明とレクチャーをちゃんと理解して、繰り返しやっていけば大丈夫です。体感は変わってきます。
音楽リテラシーワークブック、今回18ページの{7.拍子・ビートbeat}では、そこを掘り下げてみています。