ベートーヴェン「喜びの歌」メロディドローイングワーク
感覚と音楽の間を育てる・音楽を描く?・アナリーゼ
Beethoven Symphony No,9-4の「歓喜の歌」を動線で捉える
描いて音楽を捉え、感覚を広げ、その音楽を実感に結びつける、utena drawingのワークショップです。
言葉や理屈ではわかっていても、それがどう実際の音楽にかかわるのか、どこか遠いと感じる人でも、このワークでは、自分でもわかる体験が描き出されるのでうんと身近になってきます。
さて、今回取り上げるのは、ベートーヴェンの有名すぎる「歓喜の歌(喜びの歌)」のメロディの紐解き。
愛媛のutena drawing定期ワークショップでは音楽史の流れに沿って、作曲家を選んでいます。
そして、時代の変化と、作曲家の個性、作曲スタイルに触れながら、西洋音楽に親しみながら
音楽の細やかな動きに耳を傾け、感覚を育てていこう、という趣向になっています。
今回はちょうどベートーヴェンの回で、そしてちょうど12月。
ということで、交響曲第9番の4楽章の合唱で歌われる「歓喜の歌」のあの、誰もが知っているメロディを丁寧に紐解いて行ってみようということになりました。
メロディのワークは、時間もかかるので、めったにできないのですが、このメロディは耳に馴染んでいるし、短いので、このメロディなら初心者でも取り組んでもらいやすいと思います。
喜びの歌、音高のエネルギーと方向を模索するドローイングワーク
前提
このメロディはDdur(ニ長調)で書かれています。ファとドがシャープ。
なので、そのスケールの空間線を描いておきます。
主音(トニック)のレ、属音(ドミナント)のラは実感してとらえておきましょう。
その楽曲でもこの前提作業が音空間の体験を育てるのに役立ちます。
参加者の取り組み
それぞれのペースで、描いていきました。
・・とはいえ、メロディワークは
やっぱりなかなか、
自分の体験として描くのが難しいワークでもあります。
「これ苦手ー」
という人がああーしんどかったー、と額に皺寄せておっしゃって(苦笑)
でも、その正直さがすごく大事なのです。
谷中のかいたもの
勾玉みたいになっていて
納得のこのメロディ
喜びの歌、メロディワーク
音高に馴染んだところで、メロディのワークに取り組んでみました。
メロディワークは集中力も根気もいるのですが、流れ良い動きが掴めた時はうれしいものです。
愛媛での定期ワーク参加者さんたちももう5年以上取り組んできているので、お手本をなぞるのではなく、自分で音のいく先をイメージしながら、喜びの歌のメロディと自分の体感を結ぶ線を模索していっています。
声をかけるのも憚るくらい、みなさん集中して描いておられました。
改めてできたものを俯瞰して眺めてみると、一箇所だけ深いところにあるドミナントの音からの跳躍が特徴的ですね。
谷中が描いたのがこれになりました。
最初の二つのフレーズが対照的な形で向き合っているのがわかります。
真ん中に二重の輪、これはエネルギーを溜め込んできてるなーという感じ。
でも、それが後半に活かしきれていないので、まだ後半、模索して行った方が良さそう。
もう一度、やってみた。(➕アナリーゼ)
後日、納得のいってなかった後半が繋がるようにと、もう一度やりなおしてみました。
だいぶ良い感じ。
そして改めてこの「喜びの歌」のメロディ、utena drawingのメロディワークで気づいてきたことを挙げてみます。
- 第三音がよく響いていて、全体として主和音の響きが強調されている
- 単純だけど、最初と最後は似てる。
- 音程が全体狭く、歌いやすい。馴染みやすく誰でも口ずさんでしまうのはこの音程のせいかな
- 下のドミナント(ラ)は一度だけ。ここにむかっていくエネルギーと、そこから浮遊するような
動きは、前後一貫して感じた時によりメロディの一貫性が伝わってくる - その浮遊感のここちよさからの最初のモティーフの繰り返しの安定感。
- ラの音への移動に迷ったけれど、レミラー、の動きが見えてきた時に流れができた。
こちろんこれらを描いたことで演奏する時には、音楽の動き、響きにもうんと意識が働き、心も動いていきます。
ワークショップ案内
このワークショップはクローズで行っていますが
オンラインでどなたにでも参加できるワークショップを予定しています。
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