2022.07.30 utena式楽曲解析

【リスト・愛の夢第3番】utena式楽曲分析・メロディ(演奏付き)

リスト作曲愛の夢第3番

音楽を描く(utena drawing)で体感から掴んでいくアナリーゼ。
入門講座などでよく取り上げる、リストの「愛の夢第3番」です。

アナリーゼ/リスト作曲 愛の夢第3番

リストの愛の夢第3番( Liszt/Liebesträume[Notturno Ⅲ “O Lieb”])は、

3曲からなる歌曲をピアノ曲に編曲したものの3曲めの曲。
そう、もとは歌詞のある歌だったのですね。

原曲のフェルディナンド・フライヒラートの歌詞。

異性に対する愛ではなく、神様のもと、人と人の愛がテーマなのだそう。
普遍的な愛と、みじかな人と人の間のリアルな愛。
深いテーマですね。


「愛しうる限り愛せ」
O Lieb

(Freiligrath)

O lieb, so lang du lieben kannst!
O lieb, so lang du lieben magst!
Die Stunde kommt, die Stunde kommt,
Wo du an Gräbern stehst und klagst!

おお、愛しうる限り愛せ!
その時は来る その時は来るのだ
汝が墓の前で嘆き悲しむその時が

Und sorge, daß dein Herze glüht
Und Liebe hegt und Liebe trägt,
So lang ihm noch ein ander Herz
In Liebe warm entgegenschlägt!

心を尽くすのだ 汝の心が燃え上がり
愛を育み 愛を携えるように
愛によってもう一つの心が
温かい鼓動を続ける限り


Und wer dir seine Brust erschließt,
O tu ihm, was u kannst, zulieb!
Und mach ihm jede Stunde froh,
Und mach ihm keine Stunde trüb!

汝に心開く者あらば
愛のために尽くせ
どんな時も彼の者を喜ばせよ
どんな時も悲しませてはならない

Und hüte deine Zunge wohl,
Bald ist ein böses Wort gesagt!
O Gott, es war nicht bös gemeint –
Der Andre aber geht und klagt.

言葉には気をつけよ
悪い言葉はすぐに口をすべる
「ああ神よ、誤解です!」と嘆いても
彼の者は悲しみ立ち去りゆく

メロディは内性的に内側に渦を巻く

最初のフレーズの音高を参加者さんとutena drawingで読み解いたのが下の写真。

リスト作曲愛の夢第3番のメロディラインを描いて体験するutena drawing
愛の夢第3番音高をutena drawingで

渦を巻くようにして、主音へ向かう、主題。

音高を描くようになってから、気がついたのですが、
このように内側に向かった渦のような動きをするフレーズはよくある現象です。

そして実際、単に音高を追うだけでなく、渦として描くことで、そういう曲が本質的にもっている流れに自分を寄り添わせていくことができると思います。

弾きました

この曲の演奏の難しさと解決方法

この曲は、アルペジオに気をとられるとメロディラインがうまくつながらくなってしまう曲。
言ってみたら、メロディラインと伴奏のアルペジオは異質な組み合わせ、と言えるかもしれません。
utena drawingによる模索は、こうした異質な速度感を抱えた曲のメロディラインを先々まで見通して、どんなふうに表現していけば良いか、ということに新しい視点を与えてくれます。
utena drawingは音高をエネルギーとして配分していく感覚を身につけてくれるので、音がどこへ向かっていくのかを見通そうという習慣がついてきます。

youtube動画です。

弾いてみました。
アルペジオにはまだすこし深めることもできそうだけれども、
メロディは、澱むところや迷いも無く演奏できたとおもいます。
心地よく聞いていただけるのではないかな。


utena drawingについてはこちら


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