4分の4拍子ってなによ。1、上の4
世界の鼓動と音楽の鼓動
4分の4拍子、ってどんなこと?という質問にお答えしようとおもいますが、そのまえにイメージを膨らませるためにちょっと脇道へ。
世界の鼓動や呼吸(同じサイクルで繰り返すこと)
音楽は 生きもののように、鼓動を持っています。
鼓動は、同じペースで有機的に繰り返しをしています。
地球も鼓動をもっています。
朝が来て、夜が来て。
それをさらに大きな呼吸となって
夏が来て、冬が来る。
波も寄せては返して・・・
そして、満ちて、ひいて・・・
サイクルは一つとは限らず、
一つの小さな単位(波)をくくるような大きな単位(干潮)が連動していたりしますね。
植物も地球に反応するようにして、成長を繰り返します。
芽吹いては枯れ、また芽吹き・・・
そして、植物はさらに、その姿にも繰り返しがあります。
同じ葉っぱを連ねていたり、
節から節へと同じ単位を繰り返したり。
世界はさまざまに入り組んで関連しあった繰り返しに満ちています。
人間もこれに連動して、朝おきて、夜寝て。
人間もまた鼓動を持っていて脈拍をもっています。呼吸を繰り返しています。
ご飯を食べて消化・排泄しまた食べて・・これも繰り返し。
音楽の鼓動と呼吸、それが拍と拍子
意識せずとも、人が一定のサイクルを繰り返しながら生きているように、
そしてその人の雛形のように、音楽も鼓動を持っています。
拍や拍子というのは、音楽の歴史からいうと、それほど古いものではありません。
でも、実際に演奏される時、そこには自然に鼓動や呼吸おようなものが息づいていたことでしょう。
その、古い音楽に関する書物に
「音楽にはアルシス(飛翔)とテーシス(休息)の繰り返しが大事である」としたためられていました。
当時(中世)は規定化されたものというよりも、思想的なものであったのかもしれませんが、拍子や小節線などない時代にも、そうした音楽の鼓動や呼吸は語られていたのです。
楽曲により、民族により、音楽の鼓動や呼吸はそれぞれです。
現代の音楽の鼓動、拍と拍子
さて、ここからは本題です。
4分の4拍子ってどういうこと?
現代の楽曲では この鼓動を「何分の何」で表します。
上の写真です。これは 4分の4拍子。ト音記号やヘ音記号の隣に書いてありますね。
で、この記事のテーマ
この下の4と、上の4はそれぞれ何を表しているのでしょうか?
これを私はワークショップの度にいろんな人に尋ねてみるのですが、案外みなさん、いい加減なお答えが返ってきますので、もし答えられなくても大丈夫です。あなただけじゃあない。😄
ひるむことなく、世界の鼓動と地続きの音楽理論の森へ分け入っていきましょう。
このページでは、最初に上の4について説明します。
上の4は 「拍子」というくくり
この分数の上の数字は、いわゆる「4拍子 」「3拍子」とかいうやつです。
生徒にも繰り返し、なん拍子?って尋ねるのですが、度々まちがっておぼえて下の数字を言っちゃいます。まあ、4/4は上も下も一緒ですが3/4だとバレバレです。紛らわしいんですよねー。
何拍子?と尋ねられたら、上の数字をまずいっちゃいましょう。拍子(拍節)は上です。
そもそも、なんで、数字2つ重なってるの?って頭こんがらがる。
・・・・そこですよねー。ほんと、ややこしい。
これは、たとえば、心臓の脈拍が4っつのとき1呼吸、人はこれを繰り返している(人によって数は多少違うけれど・・)に似ています。そして、鼓動を小さな単位として持ちながら、もう一つ大きなくくりとして呼吸があって、その呼吸のようなものが拍子。小節線で囲われた長さがそのスパン、ということです。
上の4、つまり4拍子ってのはなにか。
それは、一拍が4回、4拍で ワンサイクル そしてまた 次の4拍で一巡り、これを繰り返すことです。
図にしたほうがわかるかな・・
数字でいうなら
1234123412341234・・・・
utena drawing的に表すとこうなります。
(utena drawingはここutena music field が研究開発している音楽ワークツールです。)
この1234で 一つの単位となり、 拍節 とも呼びます。これは 楽譜の一小節に当たります。
3拍子なら
123123123123 ですね。
現代のポップスはそのほとんどが4拍子です。99%って言ってもいいくらい。なんでだろうね。せっかくある拍子のバリエーションが4拍子に統一されちゃってるのは、もったいないな~と思います。
この拍子感を出すために、一般的に 1拍めを強くして、あとを弱くする、なんて 説明されてますが、そしてそれはそうなのですが、それはいろいろあっての作用でそうなっているので、その結果だけをただ鵜呑みにしちゃうとリズム感悪くなります。なんていうか、ベタで立体感のない拍子感になっちゃいます。強くしようと思って固くなったり、逆に出遅れたり、メロディラインとのバランスを失ったり、数に囚われたり・・拍子は音楽のとっても生きものらしいところなんですね。生きものとして扱うと、もっと馴染みやすく、文字通り呼吸し始めます。そのくらい、拍子って大事です。
また、拍子は、時間軸に沿って生まれる拍と違って、ちょっと時間を俯瞰して捉えるようなところがあります。4というくくりが、つねに現れてくるっていのは、そういうことなんですね。地上を歩いていると木々とみえるものが、空からみると森という単位でみえてくる、みたいな。
そうした、有機的、数学的、俯瞰的ないきた拍子感が自分の中に生まれてくると、同じ4分の4拍子でも、楽曲によって実に様々な表情を持っていることに気がついてくるでしょう。
ここまでのまとめと参考
「4分の4拍子」は、音楽の脈拍や呼吸のような、繰り返しの様子を表している。
その上の4は 「拍子」のことで一つの単位が「1小節」にあたる。
音楽の友社の「楽典ー理論と実習」では、こんなふうに書いてあります。
楽曲を記譜する際、はじめの部分(音部記号および調号の右隣)に、「その曲が何拍子であるか」ということと「どの音符を1拍に定めたか」というふたつの事項を分数のような形で示す。これを拍子記号という。
拍子記号!そうだったか。そんな名前だったか。
音楽の友社 「音楽形式 音楽概論」國安 愛子著(私の愛読書)では、なぜか拍子記号の記述がない。拍子については
拍子 meter 規則的に反復される拍のグルーピング。強拍と弱拍の定型的な集合で、音楽の流れに周期的な強勢点のあることで’時間的ゲシュタルト’が出現し、まとまりのる印象を形成する。多くの人がリズムの単位を拍よりも拍子として感じるのは、この理由によると思われる。
この本が好きなのは、音楽の用語も人の体験に照らし合わせ書いてあるところ。現在は出版されていないようですね。良書なので残念。それにしても”時間的ゲシュタルト” そうですか、そうですね。
この記事を書いているutena music field では
音楽の生き生きとした動きをドローイングで体験する、utena drawingをお勧めしています。
拍や拍子が体験として身についてくるのでリズム感も育まれます。
・・ということで、「4分の4拍子ってなによ?2,下の4」に続く。