ねこふんじゃったの楽曲解析(コードネーム付き)
ねこふんじゃった 愛されて幾歳
かの、名曲「ねこふんじゃった」の人気は未だ衰えることなく、子どもたちのあこがれの速弾き曲なようで、幼稚園児も小学生も、レッスンの途中でスキあらば弾き散らかしてくれる。
私は、この曲を子供が弾くのは大賛成派。
理由その1、メロディがどんな子供の耳にも届くようになっている。
冒頭が第4音がないペンタトニックに近い音階だから。そしてそれ故のノーテンキさ、欲深さのなさが無垢くてよい。
理由その2、歌詞がメロディに対して超マッチ。
阪田寛夫さんなんだなー、おなかのへる歌とかさっちゃんの人。なるほど。さすがです。日本語がきちんと音楽に連動させられている。そして韻を踏んでるとこと、メロディのツボの一致感。猫を飼っている人の怒りながらもアワアワしてる感がよく捉えられている、と思う。
理由その3、アウフタクトの曲である。
アウフタクト日本人苦手。なので幼少期に弾く価値あり、なんだが、ただ、子どもの速弾きはとてもアウフタクトに聞こえないために、うちの生徒は、きっちり、そして、なんならうちで教えて上げてもいいけど、まともなリズムで弾いてねっと言ってアウフタクトで弾けるように(もちろん音楽を描くスケッチしながら)本格的にみっちり練習。それから、世に送り出して、啓蒙活動に励んでもらうようにしてる。
書きながら気がついたんだが、この強弱のつけかた、モーツァルトのトルコ行進曲と同じだね。トルコ行進曲のリズムはトルコの音楽メフテルの影響を受けているから、その親戚関係になるのかな・・
理由その4、阪田寛夫さんの歌詞の”じゃった”、のところ伴奏ハーモニーがついていて、これが。
ハーモニーを耳にしたり体験したりする機会の少ない日本の子どもにこれが広がっていることに私は大いに意義を感じる。
さて、そう、記事を書いてみたくなったのは、このハーモニーの2パターン。
これです。じゃった①とじゃった②
なんのことかって、ねこふんじゃったの”じゃった”。
ねこふんじゃった①
ねこふんじゃった ①
ねこふんじゃ①ふんじゃ①
ふんじゃった②
だね。
そして、
ねこふんじゃった②
ねこふんじゃった②
ねこふんじゃ② ふんじゃ②
ふんじゃった①で もとにもどる。
コードと機能を書き込むとこんなかんじ。
この①がトニック ②がドミナントになる。
(コードネームは主音のKeyがG♭なので①がG♭ で、②が5度上D♭になる。)
学校なんかで 起立!礼!直れ!の 号令に使われる(今でも使っているのかな?)
起立が トニック 礼がドミナント 直れ がまたトニック
と調は違うけれど 機能は同じ。たかがDTされどDT。
ちなみに少し細かくなるけれども
つめを きれ の”れ”のあとの歌詞のない”ジャッジャ” は②の位置だけれどもちょっとハーモニーが違う。これがまたいい。Ⅶの7でコードネームは エフマイナーセブンマイナス5(長い!)という名前。(あるいは D♭9)
なぜこんな話をしてるかというと、
クラシックの演奏などを聴いていて、自分の体感でドミナントートニックの感覚を掴んで弾いている演奏と、とにかく暗譜して弾いてる演奏だと、やっぱり ちゃんと体感があったほうが、断然楽しいってことで。ポップスでもなんでもうたなんかのうまい下手は、テクニックだけじゃなくて、そういうことを感じる感覚もおおいに関係あり、で。知ってる事が大事なんじゃなくて、感じること・・フィーリングの方、ね。
たかがねこふんじゃった されどねこふんじゃった、
ここから得るものは大きいよー
という話でした。